東京地方裁判所 事件番号不詳〔1〕 判決
右会社及山田耕蔵に対する法人税法並物品税法違反被告事件について当裁判所は検事滝川幹雄関與の上審理を遂げ次のように判決する。
主文
被告会社を
判示第一の罪について罰金弐千万円に
判示第二の(一)の罪について罰金弐千百六十七万九千六百弐円五十銭に
判示第二の(二)の罪について罰金百参十参万四百九十九円五十銭に
判示第二の(三)の罪について罰金弐百弐万九千百六十五円に
処する。
被告人山田耕蔵を懲役八月に処する。
訴訟費用は全部被告会社及被告人山田耕蔵の連帶負担とする。
理由
被告共同電機株式会社は東京都港区麻布森元町一丁目十八番地に本店を(昭和二十三年五月九日同都世田谷区下馬一丁目百番地に移転)同都中央区銀座西二丁目一番地に営業所を置き資本金百万円(全額拂込済)で照明器具、配線器具等の製造並販売業を営むものであり
被告人山田耕蔵は右会社の取締役社長として同会社の事業一切の統轄をしていたもの(昭和二十三年三月辞任)であるが
第一 被告人山田耕蔵は右会社の業務に関し法人税を免れようと企て右被告会社の昭和二十一年八月七日から昭和二十二年六月三十日までの事業年度において同会社に一千四百二十四万六千七百九十六円の普通所得(総所得一千八百六万九千五百二円より昭和二十一年十二月分以降昭和二十二年六月分迄の物品税引当額三百八十二万二千七百五円二十銭を控除し円未満を切捨てたもの)及び一千四百二十三万六千五十八円の超過所得があつたに拘らず別口帳簿並に伝票を作成して普通所得が十万四千五十五円、超過所得が九万八千三百八十一円であつたように昭和二十二年八月二十八日東京都港区赤坂税務署に虚僞の法人税の所得申告をなし右申告に基き同税務署に対し法人税額合計六万四千七百三十一円三十五銭を納付し以て同会社の右事業年度の法人税額九百二十五万三千九百十四円九十銭から右納付した税額を差引いた残額九百十八万九千七百三十円四十銭(十銭未満切捨)の法人税を逋脱し
第二 被告人山田耕蔵は右被告会社の業務に関し物品税を免れようと企て営業部長鈴木茂及会計係北島壯一等と共謀の上
(一) 昭和二十一年十二月頃より昭和二十二年十月迄の間前記営業所で戰災復興院その他に対し物品税法第一條第一種乙類(昭和二十二年四月一日以降丙類)所定の照明器具合計三万二千九百五十個を代金合計一千五百五十八万二千九百円三十銭で販売移出しながらその頃別口帳簿並伝票を作成してその一部の移出額を記載した虚僞の申告書を昭和二十二年一月から同年十一月迄毎月上旬所轄京橋税務署に提出し以て物品税合計四百三十三万五千九百二十円五十銭を逋脱し
(二) 昭和二十二年十一月中前記営業所で戰災復興院その他に対し物品税法第一條第一種丙類所定の照明器具合計四千六百二十八個を代金合計三百五十一万四千八百九十九円八十銭で販売移出しながらその頃別口帳簿並伝票を作成してその一部の移出額を記載した虚僞の申告書を同年十二月上旬所轄京橋税務署に提出し以て物品税合計二十六万六千九十九円九十銭を逋脱し
(三) 同年十二月中前記営業所で戰災復興院その他に対し物品税法第一條第一種丙類所定の照明器具合計二千八百九十個を代金合計二百四十七万六千六百円で販売移出しながらその頃別口帳簿並伝票を作成してその一部の移出額を記載した虚僞の申告書を昭和二十三年一月上旬所轄京橋税務署に提出し以て物品税合計四十万五千八百三十三円を逋脱し
たもので判示第二の(一)の所為は犯意を継続して行つたものである。
(証拠)
判示事実中犯意継続の点を除きその余の事実は
一、被告人山田耕蔵の当公廷における供述
一、被告会社代表者山田秋作の当公廷における供述
一、証人大谷富次、鈴木茂、北島壯一の各当公廷における供述
一、山田耕蔵、山田秋作、鈴木茂、北島壯一に対する検事の各聽取書の供述記載
一、昭和二十四年二月五日附被告人山田耕蔵の提出に係る共同電機株式会社物品税脱税額一覽表の記載
を各綜合して之を認め犯意継続の点は短期間に同種行為を反覆して行つたことによつて之を認める。
法律を適用すると被告人山田耕蔵の判示所為中第一の所為は法人税法第四十八條第一項に第二の(一)の所為は物品税法第十八條第一項昭和二十二年法律第百二十四号刑法の一部を改正する法律の附則第四項右改正前の刑法第五十五條に第二の(二)及(三)の所為は各物品税法第十八條第一項に各該当するところ判示第一の所為は共謀に係るから各刑法第六十條を適用し而して判示第一の罪については懲役刑を選択し判示第二の罪については物品税法第十八條第二項に則り情状に因り各懲役刑を選択し以上は刑法第四十五條前段の併合罪であるから同法第四十七條本文第十條に則り犯情最も重い判示第二の(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人山田耕蔵を懲役八月に処する。
被告会社に対してはその代表者である被告人山田耕蔵が会社の業務に関して判示犯行を行つたものであるから法人税法第五十一條物品税法第二十二條によりそれぞれ各本條の罰金刑を科するのであるが判示第一の罪については法人税法第四十八條は本件犯罪後の法律(昭和二十三年法律第百七号所得税法の一部を改正する等の法律第二條)に因り刑の変更があつたので刑法第六條によりその軽い右改正前の第四十八條第一項に則り被告会社が免れた法人税額の三倍以下に相当する罰金に、判示第二の(一)乃至(三)の罪については物品税法第十八條第一項に則り被告会社が逋脱し又は逋脱せんとした物品税額の五倍に相当する罰金に処すべきである仍て判示第一の罪については罰金二千万円に判示第二の(一)の罪については罰金二千百六十七万九千六百二円五十銭に判示第二の(二)の罪については罰金百三十三万四百九十九円五十銭に判示第二の(三)の罪については罰金二百二万九千百六十五円に処する。
訴訟費用については刑事訴訟法施行法第二條旧刑事訴訟法第二百三十七條第一項第二百三十八條に則り被告会社及被告人山田耕蔵をして全部之を連帶して負担せしむるものである。
(判事 渡辺辰吉)